香港探訪記 二日目 「初めて会う、革命のリーダーたち」

2016.04.29

坂爪 祐貴

坂爪 祐貴

早稲田大学3年生

「革命」と聞いて、皆様はどういう印象を抱かれるだろうか。おそらく中学、高校で歴史を勉強した方々は、まったく別世界のもの、暴力的で、少し怖いものという印象を持たれるのではないだろうか。二日目は、政府の圧力に屈しない政治運動家の姿を通して「革命」というものを感じる一日となった。

 

天安門事件―。自由を求めて亡くなった方への、慰霊の思い

この日最初に向かったのは、清明節の天安門事件慰霊の式典。清明節とは、中国の旧暦でいうお盆の事で、毎年この時期に慰霊の式典を行っている。

式典会場には、1950年代から現在に至るまでの中国共産党政府による統制、弾圧の歴史をまとめたパネルが展示されていた。中国が隠したいであろう歴史が写真付きで数メートルにわたるパネルにずらっと記されており、知っている事件が多かったものの、あまりの多さに驚きを隠せなかった。

会場の中央には、天安門事件で使われた「民主の女神」像のレプリカが置いてあり、式典では、多くの団体、参加者が像に献花をしていた。参加者の方に交じって、自分も献花をし、慰霊の思いを捧げさせていただいた。

(式典会場から見る香港のビル群)

 
午前中の慰霊式典参加後、何人かの政治活動家の方にお話を聞く機会を頂いた。その中でも最も印象に残ったのが、「雨傘革命」の学生リーダーの一人、周庭(アグネス・チョウ)さんのお話だ。

 

雨傘革命とは

前回の記事でも触れたが、香港には一国二制度の適用が約束されている。その制度の下、香港の行政長官(香港の行政のトップ)の選挙では普通選挙が導入される予定だった。

しかし2014年、中国政府により、行政長官選挙の候補者は、親中派(中国共産党寄り)が多数を占める指名委員会の過半数の支持を得た2,3人の人間に限られるという決定がなされる。

これに対して声を上げたのが、周庭さんがスポークスマンを務める学民思潮など、香港の民主化団体。運動は大規模なデモや主要道路の選挙といった形で発展し、運動のさなか警官隊から投げられた催涙弾を防ぐために雨傘が用いられたことから、「雨傘革命」と呼ばれるようになり、世界中から注目される運動となった。

 

「学民の女神」に会って

お話を伺った周庭(アグネス・チョウ)さんは、雨傘革命で活躍した学生団体「学民思潮」の元スポークスマンで、「学民の女神」と呼ばれた革命のシンボル的存在。「雨傘革命」と聞いて彼女を思い浮かべる方も多いのではないだろうか。現在19歳で、香港の大学に通っている。


 
インタビューをすすめていく中で、彼女の話には一本「香港の民主化、香港の自由を守りたい」という柱が立っていた。どの論点から話してもそこが全くぶれない。

彼女は中国からの圧力について聞かれて、次のように答えていた。

「雨傘革命の時、様々な政治的な圧力は受けましたが、最終的に自分が気づいたのは、圧力はそこまで恐れるべきものではないということです。なぜならそういった障害や圧力は、私たちが本当にやりたいことを邪魔するものにすぎないから。まったく意味がないものなのです。彼ら(中国政府)は自分たちに抵抗するものを止めたいだけなのです。」(坂爪訳)

雨傘革命の際、家族のことで脅され、やむを得ず学民思潮のスポークスマンを降りることもあったそうだが、それにも屈せずに今も活動を続けている。

これから周庭さんは、学民思潮の時からの仲間、黄之蜂さんと共に新しく立ち上げた政党DEMOSISTŌ(デモシスト)の活動を通して、香港の自決権、民主化を訴えていくとのことだった。


 

若者革命家の姿を見て

世界に注目される若者革命家の「言葉の力」はすごいものだ。同じ言葉でも、発する人の持っている思いによって、受ける印象は全く違ってくる。

インタビューの最後に周庭さんは、「香港の未来は私たちの今の行動にかかっています。私たちが行動を起こして、香港の人々が一緒に戦ってくれたら、きっと未来を手にすることができます。」と語っていた。

自分たちとそう歳の変わらない若者の言葉には、自由を追い求める「革命」のもとにある強い信念があった。革命とは、暴力で政治を変えることを指すのではなく、「幸福の実現のために信念を持って政治を変えていく活動」のことだと、若者の一人として、心を新たにした一日だった。


 
次回、三日目。あらためて考える「自由」って何だろう?

 

参照記事

「僕が香港に飛ぶ理由」
http://truthyouth.jp/2016/152/

香港探訪記 一日目 「初めて見る、香港の街」
http://truthyouth.jp/2016/163/

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