香港探訪記 三日目 「あらためて考える『自由』って何だろう?」

2016.05.03

坂爪 祐貴

坂爪 祐貴

早稲田大学3年生

香港に滞在して、三日目。
この日、考えたことが「自由」。

話はややこしくなるが、「自由」にもさまざまな捉え方がある。前日にあった周庭(アグネス・チョウ)さんは、インタビューの中で、自分たちで国の向かう先を決めることができる自由を主張していた。

一見とても自由に暮らしているように見える香港の人々が求める「自由」とは何なのか。二人の識者の方のインタビューを通して考察した。

 

「小さな政府」の考え方

この日最初にインタビューをしたのはSimon Leeさん。自由主義者で、香港でシンクタンクのリーダーもされている。

取材の場所は「香港外国人記者クラブ」。
世界中の各メディアの駐在員が情報収集などを目的に集まっている。

洋館のような建物で、中ではたくさんの外国人駐在員の方々が食事をしながら談笑していた。香港の新聞はもちろん、Wall Street Journal、Financial Timesなど世界の主要な新聞が置いてある。そんな記者クラブの独特な雰囲気に興奮を覚えつつ、インタビューに臨んだ。

Simon Leeさんは、一部の決定が全体を支配することや、選択の自由が奪われることの間違いを語り、中国政府の権力の集中を批判されていた。全体として、「政府の介入」をできるだけなくし、自由を尊重すべきという考えを訴えていらっしゃった。

(↑Simon Leeさん(写真右)インタビュー風景)

 

全体主義に対抗する思想

実はこのインタビューの前日、Simonさんが自由主義者(リバタリアン)だということを聞いて、ハイエクの著書『隷属への道』を読んでいた。

ハイエクはオーストリア出身の経済学者、哲学者。政府による国民の経済活動への介入、統制を減らして、国民の自由な活動を重視する「小さな政府」の構想を示し、かの「鉄の女」サッチャー首相がその思想を元に政治を行った思想家でもある。

実は香港が中国に渡される取り決めがなされたのは、そのサッチャー首相の時である。中国は自由主義の国から香港を取って、経済的な恩恵を受けようとした結果、再びその自由主義の抵抗に会おうとしている。

中国の全体主義に立ち向かう思想として、ハイエク的な自由の思想が香港に流れているのではと、Simonさんのお話を通して感じた。

 

なぜ、香港の人々は自由に目覚めたのか

次にお話を伺ったのは、戴耀廷(ベニー・タイ)さん。雨傘革命の活動をサポートした人物の一人で、香港大学で教鞭をとられている。

(↑香港大学にて)

 
Simonさんのお話で、香港の人々が求める自由について考えることができた。しかし、一つ疑問だったのは、香港の人々は「なぜ政治参加の自由の大切さ」に目覚めたのかということ。

一日目、香港の街を歩いた時は、人によって程度の違いはあれど、ある程度経済的な豊かさの中にある場所だと感じていた。正直なぜ雨傘革命から続く運動が巻き起こったのかわからないくらい、人々は平穏に暮らしているように見えた。

ベニーさんのインタビューで、その素朴な疑問の答えを一つ頂いた。

たしかに香港の人たちは、雨傘革命以前は経済的な自由、豊かな生活だけで満足していたが、一部の香港の自由を求める人たちの呼びかけに気付き始める人が増え、雨傘革命という巨大なムーブメントとなり、さらに雨傘革命をきっかけとして数百万人の香港の人々が「政治的自由」の大切さに目覚めたのだという。

 

日本の民主主義には、何が失われている?

またすでに民主主義国である日本について、「香港では普通選挙を求めて戦いが行われているが、日本や他の先進国は違う。

民主主義とは単なる投票のことを言うのではなく、小さな運動から政治運動のうねりが始まり、そこで行われる熟議を通して国民が政治参加していくもので、単に一票投票するという性質のものではない。その意味で先進国の民主主義に改革は必要だ」と述べていた。

(↑香港大学にて。写真右が戴耀廷(ベニー・タイ)さん。)

 

「自由」について考えて

多少抽象的な話になってしまって分かりにくかったかもしれないが、一日「自由」について考えることを通して、

  • 香港には、全体主義の統制に対抗し個人の自由を尊重するハイエク的な自由主義の思想が流れているということ。
  • 自由を求めた人々が小さな規模から始めた運動でより多くの人を喚起した事実があったこと。

の二つを知ることができた。

香港探訪記も、残すところあと二日。
この「香港探訪記」を通して現地での体験を日本の皆さんに最後までしっかりお伝えしたい。もう少しだけ、お付き合いいただければと思う。

 

参照記事

「僕が香港に飛ぶ理由」
http://truthyouth.jp/2016/152/

香港探訪記 一日目 「初めて見る、香港の街」
http://truthyouth.jp/2016/163/

香港探訪記 二日目 「初めて会う、革命のリーダーたち」
http://truthyouth.jp/2016/174/

こちらもおすすめ

補選について