
驚愕の天安門事件―、世界的な民主活動家・方政氏をお招きして。(ある男子学生からの視点)
2016.05.19
2016.05.19
永田 王道
早稲田大学法学部4年
時は、2016年5月9日。幸福実現党・党本部にて、ある世界的に有名な民主活動家が、若者に向けてその体験を語ってくれた。
ちなみに、私たちに体験を語ってくれた翌日には、他の主要マスコミからも取材が殺到したそうだ。
その方とは、中国出身の民主活動家の方政氏。
天安門事件を直接体験した方で、その事件で戦車に踏み潰されて両足を失った後、中国政府に疑問を持ち始め、世界各地で様々な活動を展開している。
方政氏は、北京体育大学に通うアスリートでもあり、両足を失った後もスポーツを続け、やり投げと円盤投げの中国国内大会で見事に優勝した。
パラリンピックの代表者になる資格があった。
しかし、中国政府はそれを認めなかった。
それはなぜか――、
天安門事件で、両足を失ったから。
方政氏がパラリンピックの選手になったら、どういう経緯で怪我をしたのかを聞かれる。
「不都合な事実」を明らかにされることを、中国政府は恐れたのだった。
日本でも、過去、朝日新聞などが取材をし、雑誌『歴史通』でも紹介されている。
そんな天安門事件の生き字引とも言える方が、天安門事件が起こった後に生まれた、現代の若者に“その時”のことを語ってくれた。
1989年6月4日。六四天安門事件と知られるこの事件。
天安門広場で、10万人もの学生を中心とした一般市民が集まり、中国の民主化を求めるデモを行っていた。
そのデモに対して、中国人民解放軍が無差別発砲や戦車で武力弾圧し一般市民が殺害された。その映像の一部は、世界中を駆け巡った。
中国共産党は、天安門事件による死者を319人と公表しているが、その被害の実数は数万人とも言われている。
方政氏は、会場に集まった若者の質問に答える形で、自らの経験や中国の現状を滔々と語った。
まず、中国では情報が統制されており、日本では比較的知られている天安門事件は、中国の中では“存在しない”という。なぜなら、学校教育では中国政府の都合の良い情報しか習わないからだそうだ。
確かに、以前ある番組で、北京の若者に天安門事件について聞いても、「そのようなものは習ったことがない」と答える若者ばかりだった。
一説によると、数万人の若者が殺された天安門事件。
人の命を踏みにじった事件を隠す中国当局は、同じ人間のものとは思えない…
また、情報公開(グラスノスチ)が起因となったソ連崩壊を例に出し、もし中国共産党が崩壊するとしたらどのようなシナリオになるかという質問も飛びだした。
それに対して方政氏は、内部の革命か、外部からの圧力か、どちらかによるだろうと答えた。
確かに、中国国内では報道がほとんどされていないが、民間の暴動が年間20万件以上も起きている。香港で2014年に起きた雨傘革命は、記憶に新しいところだろう。
こういった流れが、他国からの圧力と相俟って、革命につながる可能性は十分にあるのではないだろうか。
軍事拠点の設立や他国の領海・領空侵犯など、軍事進出が目立つ中国。
その裏には、国内での人権弾圧があり、内部の反発も高まってきている。
私たちは、中国政府の行動だけではなくて、中国国民のことも、もっと考えなくてはならないのではないだろうか。
中国国民は、傷ついている。そして、それでもなお、真実のために戦おうとしている。
そのことに、どうか気づいてほしい。
そして、語ってくれた方政氏の気持ちに応えたい。
もっと多くの若者たちに天安門事件のことを知ってほしい。
天安門事件こそ、ユネスコ記憶遺産に登録するべきではないだろうか。
人類が過ちを犯さないための教訓として――。