
中国はどうして日本を“叩く”のか?
2016.01.21
2016.01.21
栩坂 明日美
横浜国立大学経営学部4年
2015年10月。
中国政府がユネスコ記憶遺産に申請していた「南京大虐殺」資料が登録されたことを、みなさまはご存知でしょうか?
これまでも、様々な観点から南京事件は事実無根であると指摘がありました。
にもかかわらず、日本政府は事前に十分な対応をとらず、中国政府の働きかけにより「南京大虐殺」資料がユネスコ記憶遺産に登録されてしまいました。
中国と日本は仲良くやっていた時もあったような気がする。
なのに、どうして中国は最近になってここまで日本を挑発するのだろうか……と不思議に思う人も、少なくないかもしれません。
では、中国が日本叩きをする理由を紐解いていきましょう。
実は、今の中国政府の行動は、ある歴史を繰り返していると思われます。
それは、人類史の悲劇として記憶されているナチスドイツがかつて辿った道でもあります。
『もしドラ』で若い人にも有名になった、P.F.ドラッカーの処女作となる『経済人の終わり』では、当時力をつけてきたナチスドイツという全体主義国家に対する鋭い考察が述べられています。
ドラッカーの主張の一部を要約すると、以下のようなことになります。
全体主義国家は権力の秩序を軍事力に求める。そうすると、経済も軍事的な秩序に取り込まれる。そこで現れる経済とは全体主義経済、いわゆる中央集権型の経済となる。
しかし、こうした経済には限界がくる。つまり、必ず政治の失敗が起きるのだ。その時、全体主義国家は政治の失敗の責任を外に求めるしか自らを正当化させることができない。
そうしてユダヤ人は、政治の失敗責任を押し付けられ、悪魔の化身とされた。
……難しかったかもしれません。
要するに、ナチスや中国のような全体主義の国は、誰かを悪者にして、自分たちが正義のヒーローのようにすることで、自分たちの失敗の責任から逃れようとする、ということです。
こうしてドラッカーが見抜いた全体主義の行動原理ですが、実際にナチスドイツは、ユダヤ人が悪魔の化身であるという理由を「シオンの議定書」に求めました。
この議定書は、ユダヤ人による世界征服計画があるということを書いたものです。
作成したのはロシアの秘密警察であると言われており、すでにでっち上げであることは1920年には証明されていました。
しかしナチスドイツは「シオンの議定書」を根拠にユダヤ人迫害を強行しました。
特に第二次大戦前、この議定書は幾度も重版されました。
ここまできたら、中国政府にとっての「シオンの議定書」が何であるかということが見えてくるのではないでしょうか。
「南京大虐殺」は、中国政府が“日本叩き”を正当化する頼みの綱なのです。
今この日本叩きが激しくなっているということは、中国国内の状態がかなり危うくなっていることも予想されます。
実際、最近発表された中国の2016年の見込み成長率は6.5%で、2015年の6.8%を下回りました。
例年7%以上の成長率を続けてきた中国経済が明らかに弱っています。
以前から、中国の経済指標は当てにならないと多くの知識人の方が指摘していましたが、その中国政府ですら指標を下げるということは、実情はかなり厳しいのでしょう。
しかし、この事実は、国内の政治の失敗を国外に向けて、中国が軍事行動を起こす可能性が高まっているという見方もできるので、日本は安心できません。
連日報道される中国の海洋進出は、中国の軍事侵略の意図を明らかに示しています。
さて、この事実を、私たち日本人はどう考えるべきでしょうか。
昨年、ほとんどのマスコミは、安全保障法制反対と叫ぶ学生グループのSEALDsをクローズアップしました。
一方で、「安保賛成」の意見は、ほとんど報道されませんでした。
現在の日本国憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」とあります。
いまだに、中国や北朝鮮を“平和を愛する諸国”として、私たち自身の“安全と生存”を、不正と抑圧だらけである共産党政府の“公正と信義に信頼して”しまっているこんな憲法のままでよいのでしょうか。
ユダヤ人の悲劇は、全体主義国家の恐ろしさを教えています。
また、経済力があっても、自分たちを守る軍事力がなければ悲惨な目にあうと雄弁に物語っています。
日本に今必要な政治家は、正しい歴史認識を持ち、自信を持って国際社会を引っ張ることができる人ではないでしょうか。
栩坂 明日美
横浜国立大学経営学部4年