
プーチン大統領の国内人気の秘訣を探ってみた
2018.04.07
2018.04.07
山中優宏
プーチンに対する日本人の評価は本当にきれいに割れます。「プーチンは暴君だ!!」って人もいれば、「プーチン素敵!!」って人もいます。確かに、強硬的にクリミア併合をやっちゃうような強い政治家かと思いきや、犬が大好きで一緒にじゃれている姿を見せるなど、可愛らしいネタにも事欠かないでいる…。
しかしプーチンは、その優れた政治手腕によって、ロシア国民からは長い間支持され続けています。
では、どうしてこんなにもプーチンは、ロシア国内で人気があるのでしょうか。
以下、3点にまとめてみた。
国民の支持を集めるか否かを決める一番の要因は、やはり経済を如何にプラスに転じていけるかということです。そういう意味では、プーチンは初めて大統領になった時から国民の心をがっしりと掴んでいたと言えます。
彼が政権に入ってからのロシア経済はまさに右肩上がりで、ソ連崩壊からマイナス成長を続けていたロシアのGDP成長率は、プーチンの登場を契機に一気にプラス成長へと転じました。人々の生活水準は上がり、プーチンの支持率も比例して高まっていきました。
しかし最近に関して言えば、米日欧の経済制裁や原油価格の暴落などによりロシア経済は不況の真っただ中です。では、なぜそれでもロシア国内でのプーチンの人気は収まらないのでしょうか。
その答えとしては、上記でも触れた「クリミア併合」をはじめとした、彼の強力な実行力があります。ロシア国内では「歴史的な問題に終止符を打った英雄」として称賛されています(国民の8割以上がクリミア併合を支持)。
クリミアは長らくロシア領でしたが、ソ連時代にウクライナ側へ切り離された歴史があります。よってクリミアの住人もロシア語を話す人が多く、ロシアへの帰還を主張する声は常にありました。つまり一連のクリミア併合は、「一つのロシアとしてまとまりたい!」というロシア国民の愛国心や誇りの部分を一気に高めた行為だったと考えられます。
加えて、プーチンが特に力を入れていることの一つとして「ロシア正教の復活」があるのではないでしょうか。
ロシアは、歴史的にロシア正教を信仰するキリスト教国家でしたが、ソ連時代は共産主義の下で宗教が否定され、多くの教会が破壊されました。そうしたなかプーチンは、旧共産党の官僚を一掃し、ロシアの全学校で、宗教教育の義務化や教会の再建を進めてきました。それにより、ソ連時代の抑圧下で堂々と自らの信仰を表に出せなかった人々からの絶大な支持を得るに至りました。
簡単ではありましたが、以上3点でプーチンが絶大な人気を誇る理由を述べてみました。ロシアは経済状態から中国などに接近していますが、ロシアの利益に則った「プーチン」の行動を理解し、良好な日露関係を築くことができれば、北方領土問題をはじめ日露関係は大きく前進するのではないでしょうか。